sakaname’s blog

日頃のランニングやサイクリング、トレーニングをメインに、今読んでる本の事など綴ります。

#203 呼吸-3

呼吸の続き

普段私たちが呼吸している「空気」の組成は以下の図の通り、窒素と酸素が大部分を占めています。

            空気の組成の図↓↓

空気の組成

空気の組成

目に見えない空気ですが、乾燥した空気1リットルの重さは0℃1気圧の時1.293グラム、1リットルで約1グラムです。1グラムというと軽く感じますが、これが垂直方向に数十km積み重なる(大気圏)ことで地表付近の空気には大きな重さ(圧力)がかかります。1気圧は1㎠あたりおよそ1㎏の圧力、1㎡あたりでは10トン、土砂満載のダンプカーが載っているような大きな力です。

自転車に乗っていると、この圧力の感じが良くわかります。単独走行とドラフティング走行では体力の消耗度がまるで違うので。

 

そんな空気を「呼吸」というかたちで体内に取り込んで、その中の酸素を有効に使うためには、二酸化炭素の働きが重要であるということを前回まとめました。

前回の呼吸の話で出てきた二酸化炭素の体内での役割、その中で血液のPH値を調整するというのがありました。血液のPH値は7.4辺り、弱アルカリ性に保たれているのですが、過呼吸(呼吸のし過ぎ)によって二酸化炭素を吐き出し過ぎると、血液のPH値が上昇し、アルカリ度が強くなります。逆に呼吸を遅くすると、二酸化炭素を体内に多くとどめておくことになり、血液のPH値は下がり酸性が強くなります。

 

過呼吸(呼吸のし過ぎ)によって血液のPH値が上昇しアルカリ度が強くなると、腎臓の緩衡作用が働いて炭酸水素塩としてオシッコに放出しPH値を保ちます。炭酸水素塩(重曹)が体を離れる際、マグネシウム・リン・カリウムなどのミネラル分を道ずれにします。長年に渡る呼吸過多が、腎臓の緩衡作用による必須ミネラル枯渇の要因になります。

恒常的なミネラル不足は、神経の不調をきたす・平滑筋の痙攣・細胞がエネルギーを効率よく産生できない・骨を弱める、などの弊害をもたらします。

 

また、細胞内のPH値はほぼ中性の7.0。細胞内で産生する有害代謝産物のほとんどは酸性のため、細胞内から細胞外への移行に、このPH値の差が有効に働きます。血液のPH値7.4を保ち、ずれるとそこへ戻ろうとする働き、これをを恒常性(ホメオスタシス)といいますが、人が健康に生きているとはこの恒常性が機能している状態、バランスがとれている状態といっても良いでしょう。(自律神経が健全に働いている状態)

血液のPH値に限らず、身体の状態を一定に保つこの恒常性のバランスが崩れた時、不健康になり体調不良を引き起こし、ずっと続くと「病」と言われるようになります。そうならないための一つのアプローチとして、普段の「呼吸」を考えてもらえたらと思います。

 

生きていく上で欠かせないもの、水と食料と空気。

アスリートに限らずですが「のどが渇く前に水分補給」とか「運動後30分以内にプロテイン」とか、よく話題に上るのは栄養のことや水のことが多く、それはそれでパフォーマンス向上の大切な要因と思います。が食料なしでも数日は生きられます。水だけでもやはり数日は生きられます。空気を絶たれたら数分が限度です。普段何気なくしている呼吸の大切さを再認識し、呼吸の仕方に目を向けてもらえればと思います。

 

次回は、鼻呼吸と一酸化窒素のことをまとめて紹介します。

続く

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櫻井要のオーストラリア横断日記