sakaname’s blog

日頃のランニングやサイクリング、トレーニングをメインに、今読んでる本の事など綴ります。

#68 砂糖きび

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砂糖きび畑

19歳の時、自転車で日本一周の途上、冬は暖かい沖縄にいました。那覇のある沖縄本島より、さらに南の八重山諸島石垣島とか西表島)にしばらく滞在し、サトウキビ刈りのバイトを2カ月くらいやっていました。場所は、小浜島石垣島から船で渡ります。その当時「はいむるぶし」というヤマハのリゾート施設があった島です。今も営業しているのかは、わかりません。

 

島の製糖工場に宿舎があり、工場で働く人も、畑に出る人も、そこへ泊っていました。

どちらも季節労働者で、工場の仕事は宮古島からの漁師さんが多くいました。その宮古島ですが、「沖縄県で最も犯罪率が高い」とか「気が荒い」とかいう噂を聞き、実際にその時も酒(泡盛)に酔った1人が、手にタオルを巻きつけて宿舎の窓ガラスをたたき割る事件がありました。たまたまの偶然なのかは、わかりません。

一方の畑仕事(キビ狩り)は、地元の農家の人と、僕のような旅の途中の旅人、元は旅人だったであろうヒッピー風の人などで構成されていました。

その他に、宿舎併設の食堂の賄いの人は、台湾人のおばちゃんでした。「玉龍」というカーフェリーが九州の福岡から沖縄本島奄美にも寄港していた?)、宮古島石垣島を経由して、台湾の基隆まで就航していた頃の話です。「玉龍」は船内にゴキブリが良く出るので、僕らの間では、「ごきりゅう」と呼んでいました。便利な船便だったので廃止されて残念です。台湾のおばちゃんたちは、とても気さくな人たちで、妙に元気で親切にしてもらいました。肉味噌、青さ汁、ポーク缶と卵の焼いたもの、あとは各種チャンプルー料理。ご飯はおかわり自由だったので、肉味噌だけでも十分幸せな食卓です。それに海苔の佃煮の瓶もありました。夜食用に(工場は24時間稼働だったと思います)インスタントラーメンが置いて有り、それも自由に食べられました。銘柄は「うまかっちゃん」九州博多のらーめんです。

 

サトウキビ刈りは、一日働いて日当4,000円。

キビ狩りの始まる日の前日(か二日前)に、働き手が必要な大きなキビ畑を持っている農家の人たちが、一同公民館に集まりくじ引きをして、そのくじの結果、僕たち労働者は、行き先の農家が決まる仕組みでした。僕は大久(ダイクと読みます)文三さんという小浜島で一番広いキビ畑を所有する人のところで働くことになりました。2月~3月にかけてのこの期間、一家総出で農作業にあたります。大久さんから、畑までの通勤?に使うバイク(スーパーカブ?みたいの)と仕事着のツナギを渡されました。

この時期は、雨季にあたるのか雨の日が多く、ビニールの雨合羽も支給されました。ですが、かなり蒸れるので、ズボンだけ合羽を履いて、上着はTシャツのまま濡れるに任せ、作業することもあったと思います。

仕事の内容は、砂糖きびの株(5~6本の茎、もっと本数多かったかも)を専用の鉈で立ち切って、畝に寝かせて置くことが中心です。その寝かせたキビの葉の部分と、葉が枯れて茶色くなった葉の残骸(皮)を、二股の特製の鎌で取り除く(皮むき)ことを、農家さんがやります。砂糖きびの茎だけになったものが、畝上に置かれていきます。それをまとめて担いで、道路端へ運ぶのも僕の役割り。ようはハードな肉体労働のところを担当していました。慣れてくると、皮むきのところも手伝いました。

刈り取って皮むきを済ませた砂糖きびを、道路端へ積み上げておくと、頃合いをみてユニック車が来て、キビの束をトラックに積みます。そのまま製糖工場に運ばれて行き、目方に応じて、製糖会社から農家へ代金が支払われていました。

島全体が砂糖きびと製糖工場を主体に回っている感じでした。

 

宿舎では、ほぼ毎晩酒盛りしていました。小浜島はハブのいる島(島によっていないところもある)で、時々砂糖きびの株の根元に出てきました。冬場は動きが遅いので、首根っこを鉈で押さえて捕まえて、肥料袋に入れます。それを製糖工場の敷地内の角に生えていた木に、ぶら下げて保管します。後でまとめて石垣島の業者に売るために。ハブは猛毒を持つ危険な蛇で、熱にも反応するため、肥料袋の上からでも気を抜いて扱うと危ないです。実際、かすった程度に牙が当たった人が腕を腫らせているのも見ました。

大きなハブは良い値段で売れました。小さなハブはその場で皮を剥いて、製糖工場のボイラーに貼り付けておくと、かっぱえびせんのようになり、おつまみにしました。

泡盛はここではこれ↓↓

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石垣島泡盛・請福

ヤシガニやオオコウモリなんかを見たのも、初めてのことでした。

サトウキビ刈りでは、畑一つ(メインの大きな農地)を刈り取って一段落すると、山羊を一頭つぶして山羊汁を作るのが習わし、御馳走になりました。お祝い事の時は山羊汁です。ヨモギを入れて臭みを消しているとはいえ、初めて食べた時は、かなり衝撃的でした。臓物がそのままの形で入っているので。沖縄では(小浜島)牛より山羊のグレードが上です。いろんな風習に触れて、方言とかも聞いて、本土より台湾に近いのかなあ、というのが素直な感想です。

 

一日の畑仕事を終え、海岸線や島の中央への上り下りを走っていました。裸足だったり、自転車に乗っている時のシューズだったり、トライアスロンへの下地はこの辺りから、作られていったようです。

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櫻井要のオーストラリア横断日記